8月のアノマリー
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8月のアノマリー。
8月は、株安・債券高になりやすい月だという。
8月には、株式市場から国債などの債権に、投資資金が移動する傾向がある。
簡単に言うと、株を売って国債を買う流れが出来やすいってことかな。
株から債券に投資資金が移動すると言うことは、8月初めに株式利回りが下がり、債権利回りが上がっているって事だろう。
つまり株価が高くなりすぎてて投資利回りが悪化し、逆に債券は売られすぎてて利回りが良くなっているわけだ。
そして債権利回りが上がると言うことは、ドル円は円高方向に動きやすい。
ドル円の為替レートは、日米の実質金利差に敏感に反応する。
日米金利差が広がれば、ドル買いが進んで円安方向に傾く。
逆に日米金利差が縮まれば、ドル売り円買いになって円高方向に動く。
そのため、アメリカ10年物国債の利回りが下がれば、日米の金利差が縮んで円高になるわけだ。
さらにアメリカ国債の利払いが、8月中旬に行われる。
日本の機関投資家も、その利払いを日本円に替えるため、ドル売り円買いの実需が生まれる。
株式取引にしても為替取引にしても、通常は投機的取引なので、売買は往復でセットになっている。
買ったモノは売るし、売ったモノは買うと言う風に一往復でできている。
しかし実需は片道だけなので、相場を動かす力となる。
数兆円規模の実需があれば、ドル円相場は2~3円くらいは動くので、どうしても円高方向に進みやすい。
ここまでをまとめると、8月は株安・債券高になりやすい。
債券高は金利下落を意味するので、日米金利差が縮まって円高になりやすい。
またアメリカの国債の利払いが8月にあるため、日本の機関投資家はそれを円に替えるため、円買いの実需もある。
実需は片道だけの売買なので、相場のレンジを数円動かしてしまう。
普段の株式市場やFX市場では、買ったら売る、売ったら買うという一往復がセットになっている。
そのため、買いが入ったらしばらくすると売りが出てくるし、売りが売り終わったら、しばらくすると買いが出てくる。
一方、実需の円買いは片道の買いなので、買いが入った後は売りが出てこない。
そのため、円買いトレンドが続いて円高になり、日本株は下がると言うことになる。
円買いトレンドが続く理由は、円高になればなるほど、日本円換算の利益が減るため、円買いを急ぐ機関投資家が並んでいるからだ。
巨大機関投資家が、一気に数千億円もの実需の買いを入れると、急激な円高を招いてしまうため、様子を見ながら円買い注文を少しずつ入れていくって事らしい。
一方、8月で気になるのが、金融関係の事件が8月に多いことだ。
2007年にはパリバショックが8月に起こったし、2015年には中国の人民元の切り下げでチャイナショックが起こったのも8月だった。
どちらも株価が高値で堅調だと思われていたところに、思わぬ伏兵が現れて、あれよあれよという間に株価が大幅下落した。
株価が高値でウロウロしていると、みんな利確タイミングを見計らっているため、大口投資家が投げ始めると、連鎖的に売りが出て一気に株価が下がってしまうらしい。
これが怖いので、8月はトレードを休む個人投資家も多いようだ。