地方銀行の業績は?
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マイナス金利政策を2016年1月末に日銀が導入して以降、地方銀行は青息吐息だという。
マイナス金利政策と言うのは、銀行が日銀に預金する場合に掛かる金利をマイナスにすると言うもので、言ってみれば「預金すると手数料を払え」というモノだ。
世界の一般銀行は、その国の中央銀行に「準備預金」をすることが義務づけられているのだが、これには利子が付く。
中央銀行に預けているうちに、インフレで価値がドンドン減って行ったらマズいからね。
そしてデフレでも、日本の場合、2015年現在で、準備預金には0.1%の利子が付いていた。
ところがこの準備預金を大きく三つに分けて、プラス0.1%と、0%と、マイナス0.1%という3段階の金利を設定した。
簡単に言うと、準備預金として最低限日銀に預けてもらう額にはプラス金利、それ以外にはゼロ金利かマイナス金利をつけるということだ。
これによって銀行は、余剰資金を日銀に預けて僅かながらの利子をもらうことができなくなり、収入源が一つ減った形になった。
そのため、マイナス金利政策導入がウワサされ始めた2015年末から銀行株は軒並み下がり始め、正式導入が決まった後も大大幅に下落した。
この前後の地方銀行の業績推移を見ると、確かに大きく業績を減らしていて、20%以上も減ってるようだね。
地方銀行の業績推移(2008-2017 64行合計)
これを見ると、リーマンショック後の民主党政権時代(2009-2012)でも、地方銀行は堅調だったのに、アベノミクスが始まって以来、なぜか右肩下がりになっている。
地方銀行の業績データを調べて見ると、次のようになっている。
地方銀行 [64行合計] の業績の推移(2008-2017)
単位:億円 | 業務純益(コア+債券) | 当期純利益 | コア業務純益 | 国債等債券関係損益 |
2008年度 | 9,956 | -698 | 14,201 | -3,911(※リーマンショック) |
2009年度 | 13,519 | 5,516 | 13,298 | 751 |
2010年度 | 13,818 | 5,427 | 12,750 | 1,094 |
2011年度 | 13,615 | 5,794 | 12,337 | 971(※東日本大震災) |
2012年度 | 13,994 | 6,496 | 11,969 | 1,456 |
2013年度 | 12,316 | 7,808 | 11,911 | 419 |
2014年度 | 12,817 | 8,211 | 12,128 | 578 |
2015年度 | 12,702 | 9,403 | 12,191 | 504 |
2016年度 | 10,348 | 7,954 | 10,660 | -467 |
2017年度 | 9,463 | 7,838 | 10,887 | -1,067 |
※全国地方銀行協会HPより作成
これを見ると、アベノミクスが始まった2013年度からガクンと業務純益が減り、さらにマイナス金利政策導入から、さらにガクンと減っていることが分かる。
地方銀行は、マイナス金利政策で収入が減った上に、アメリカの金利上昇(つまり債券価格下落)で損益を計上しているため、大幅に業績を落としたということらしい。
さらにコア業務純益もなぜか1兆2,000億円前後だったところから、1兆円台まで、約1,500億円も突然減らしている。
これもおそらく、マイナス金利政策の余波で、融資金利を引き下げた結果だろう。