NT倍率の推移と、トレンド
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NT倍率は、日経平均株価と、TOPIX指数の比率を表す数値だ。
日経平均株価 ÷ TOPIX という計算式で表されて、過去のデータでは10倍から13倍くらいの倍率になる。
日経平均株価は、東証一部銘柄から、代表的な企業を225コ選んで平均したもの。
一方、TOPIXは東証一部の全銘柄の時価総額の指数だ。
だから日経平均株価の225銘柄は、TOPIXに全部入ってる。
そのため、普通は日経平均株価もTOPIXも、似たような値動きをする。
ところがNT倍率の推移を観察すると、10倍に近い時期と、13倍に近い時期があることがわかる。
これは一体、何を意味するのか?
NT倍率の推移 年次データ(1989-2017)
上のグラフを見ると、バブル景気の頃はNT倍率が高く、2000年代の10年は、NT倍率が低かったことが分かる。
これを見ると、バブルの頃は、みんなよく知っている大企業の業績が良く、株価もドンドン上がっていたが、2000年以降は、大企業の業績があまり良くなくて、株価も振るわなかったと言うことらしい。
NT倍率の推移、リーマンショック以降は、どうなっているのか。
月次データを元に、アベノミクス相場の少し前からNT倍率の推移をグラフ化してみた。
NT倍率の推移 月次データ(2012-2017)
※アベノミクス相場(2013-)の1年前から。
このグラフを見ると、NT倍率は11.5倍から12.5倍くらいの間を動いている。
さらに、ジワジワと右肩上がりに上がっていることも分かる。
この大きな原因は、安倍政権が日銀の日本株ETF買いによって、株価を吊り上げていると言うことが挙げられる。
このETFというのは、Exchange Traded Fundsの略で、「上場投資信託」と呼ばれるモノだ。
「投資信託」とは、簡単に言うと「株のパッケージ」に投資するようなモノで、複数の銘柄に分散投資を行うようなモノだ。
投資信託にも色々あって、たとえば日経平均株価(日経225)の連動型ETFであれば、日経平均225銘柄の値がさ株をまとめてガバッと買い集める。
日経平均株価は、株価の平均なので、225銘柄のウチ、株価が高い方から順に20銘柄とか30銘柄を、まとめて買ったり売ったりする。
具体的には、ユニクロのファーストリテイリング1万株と、ソフトバンクHDを1万株と、ファナックを1万株と、…と言う風に20~30銘柄くらいをパッケージにして売買するわけだ。
日銀の日本株ETF買いは、当初、日経平均連動型ETFを中心に行われていたため、NT倍率が上がった(少なくとも下がらなくなった)と考えられる。