2015年の株式市場は、果たしてどうなるか?
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2015年の株式市場は、果たしてどうなるか?キーワードは、原油価格下落になるかもしれない。
ここまでの動向を再確認すると、2014年12月、原油先物価格(WTI)暴落。
原油先物価格は、2014年6月には、1バレル105ドルという高値水準にありました。
そこからジワジワと下がり始めていたんですが、しばらくは三角保ち合いの形になっていました。
しかし8月には三角保ち合いを下値ブレイクし、12月には1バレル60ドルも割り込んでしまいました。
2008年夏のリーマンショック後の最安値が、1バレル40ドルだったのですが、それ以来の安値水準に急降下しています。
月足チャートを改め見ると、7月から下落が始まり、10月からはもう投げ売り状態ですね。
石油先物価格の推移(WTI2007-2014)
この原油価格暴落の原因は、大きく分けて2つあります。
まず、世界経済の景気後退。
9月には国際エネルギー機関(IEA)が、ヨーロッパや中国の景気悪化を受けて、石油需要の見通しを3カ月連続で引き下げました。
なので原油先物価格下落は当然なんですが、これに追い打ちをかける大事件が起こりました。
それが、「産油国の減産見送り」です。
というのも大生産地のサウジアラビアが減産に踏み切らず、なんと原油の値下げを行ってきたからです。
今まで、原油価格下落時には減産していたサウジアラビアなどOPEC(石油輸出国機構)諸国が、今回は減産せず原油価格引き下げに転じました。
今までは、原油価格を維持するために減産してきたのに、なぜ今回は減産せずに価格を下げたのか。
この最大の原因が、アメリカで起こったシェールガス革命です。
シェールガスというのは、地下の岩盤に眠っていた天然ガスを、水などを使って取り出すんですが、同時に原油(シェール・オイル)も採れるのですね。
なのでアメリカでシェールガス開発が進めば進むほど、原油の供給量も増えてきて、2020年にはアメリカ国内需要の50%をまかなえるらしい。
アメリカの原油自給率向上で経常収支改善・ドル高が続く?
シェールガス開発に伴って、原油生産も増加したアメリカ。
2020年にはアメリカの原油自給率が50%を超え、中東からの原油輸入が現在の60%から、20%まで減るという予測まで建てられています。
このシェールオイル採掘の「操業停止点」は、1バレル40ドルぐらいだと見積もられており、サウジアラビアが減産して価格維持を図ると、アメリカでシェールガスの開発がドンドン進んでしまう。
となると価格がさらに下がる状況は避けられないので、サウジアラビアなどの産油国としては、シェアを優先したということのようです。
シェアが減って減産を余儀なくされるより、原油販売先を確保しておきたいってことですね。
原油価格が下がっても、損益分岐点まで下がれば、新規開発にブレーキも掛けられますし。
「これからもしかすると景気が停滞するかもしれないので、金利の引き上げは慎重にやることにした」…ということのようですね。
FOMCとしては、アメリカの2015年の景気を疑問視していて、要するに「今が景気のピークなんじゃないか」ってことですね。
なので2015年の株価がどうなるかは不透明。
少なくともドーンと上がる事は無いでしょうが、逆にドーンと下がることはあり得るってことですね。
ただし、ドル高は続くというふうに考えられています。
原油安は、アメリカの経済収支を改善して、ドル高に働く
アメリカの経常収支は、ここ35年、殆どが赤字です。
80年以降で黒字になったのは、1980/1981/1991年の3回だけで、それで常に「ドルはいずれ紙くずになる」と言われるわけですね。
なのでアメリカは石油利権を必死で守って来ました。
というのも石油はドル建てで決裁するため、ドルを刷りさえすれば、石油と交換できたからです。
そのため、膨大な貿易赤字・経常収支赤字にもかかわらず、アメリカは超大国として振る舞ってこれたわけです。
ところが大幅な原油安は、貿易赤字や経常収支の赤字を改善します。
シェールガス開発で原油の自給率が上がれば、原油輸入量が減りますので、貿易赤字や経常収支の赤字を改善します。
アメリカの経常収支が改善して黒字化してしまったら、ドルが紙くずになるリスクがなくなりますから、ドル安になる強要因はなくなってしまいます。
一方、現在の日本は貿易赤字が続いていて、経常収支もプラスになったりマイナスになったりなので、円高要因が殆ど無いという状態。
2015年の為替に関しては、ドル高円安ってことですね。
ということで、2015年の株式投資、始まります。