ボロ株から復活 ビジョナリー
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100円未満のボロ株から復活する銘柄もいくつかある。
今回は、3期連続赤字で、上場廃止猶予期間に入ったところから復活したビジョナリーHDだ。
ビジョナリーというのは、聞き慣れない社名だが、メガネスーパーと言えば知ってる人も多いだろう。
メガネスーパーは、関東を中心としたメガネ小売りチェーンで、創業者は馬主でも有名だった。
また80年代からプロレスにも理解を示し、スポンサーにもなっていた企業だ。
さらには広告を出稿するだけでなく、1990年には、天龍源一郎をエースとする「SWS」というプロレス団体を立ち上げて、WWF(現在のWWE)とも提携して、ハルクホーガンなど、当時のWWFスーパースターを招聘するという離れ業もやってのけた。
興行も、WWF式の一本道から登場するというスタイルで、日本ではいち早く一本道を取り入れた団体としても知られている。
ただ既存のプロレスマスコミとの折り合いがうまく行かず、メガネスーパーの評判を落としかねないとして、2年で撤退する憂き目に遭った。
2000年代に入ると、SPA業態という、メーカー直販のメガネチェーン店が次第に勢力を増し、メガネスーパーも赤字と黒字を行ったり来たりするようになった。
メガネスーパーの株価の推移
SPAというのは「製造小売り」とも呼ばれるが、元々はアメリカのアパレルブランドのGAPの方式だ。
GAPは、speciality store retailer of private label apparelと言う風に自らを定義し、これを略してSPAと呼ぶ。
通常の流通というのは、メーカー、卸売り、小売りという風に、3段階に分かれていることも多いが、小売業からスタートした企業が、製品を企画して生産に乗り出す形で、これらを一括して行うというのがSPAということらしい。
SPA製造方式で眼鏡業界を席巻したのがZoff(ゾフ)で、レンズとフレームをセットにして、5,000円、7,000円、9,000円という3通りの値付け(3プライス戦略)で眼鏡を大量販売し始めた。
これに習ったのがJINS(ジンズ)で、やはり低価格の眼鏡セットを大量販売し始めた。
これらの価格破壊により、メガネスーパーは業績を大きく落とし、2011年から3年連続で債務超過に陥った。
さらには上場廃止猶予期間入りになり、名実共に「ボロ株」に転落した。
2012年からは創業家が退き、投資ファンドの元で経営再建を始め、低価格競争から顧客サービス重視に転換した。
その甲斐あって2016年4月期には、9期ぶりの黒字を達成し、上場廃止を免れた。
さらには、ウエアラブル端末事業(眼鏡型コンピュータ)にも乗りだし、新たな収入源を模索している。
また、同じく経営難に陥っている富山や大阪の眼鏡チェーンを束ねる形で、新しい持ち株会社を立ち上げ、メガネスーパーもその子会社とした。
そうして誕生したのが、ビジョナリーホールディングスだ。
ビジョナリーホールディングス チャート
※メガネスーパーは2017年10月26日で上場廃止、ビジョナリーへ移行。
ビジョナリーは、新会社スタート時点でも、メガネスーパー時代の第三者割当増資の行使がまだ残っており、なかなか株価も上がらなかった。
しかしメガネスーパーが所有する不動産の売却益を計上したり、劣後債を株式に転換して負債を減らしたり、様々な施策によって利益が上がる体制が整ってきた。
そして25億円の利益をめざす計画も発表し、長らく低迷していた株価も大きく上昇してきている。