量的金融緩和政策とは?
更新日:
量的金融緩和政策(Quantitative easing:QE)とは、金融政策の一つだ。
一般的な金融政策は、政策金利をコントロールすることによって景気を刺激する。
しかしそれが不十分な場合、資金供給量を増やすことによって、景気を刺激するのが量的緩和政策だ。
ではなぜ量的金融緩和が必要なのか?
通常の政策金利のコントロールでは、なぜだめなのか?
ということで、まず通常の政策金利コントロールからまとめよう。
まず金利が下がれば、お金を借りたい人が借りやすくなる。
というのも金利が下がれば資金調達コストが下がり、損益分岐点が下がるからだ。
たとえば1億円の資金を借りて、アパート経営を行うビジネスを考えよう。
アパート経営の平均的な表面利回りは、8%から12%くらいだというから、資金調達コストは非常に重要だ。
すなわち、金利(利子率)が5%で借りてアパート経営するのと、金利3%で借りて経営するのとでは、天と地ほどの差が出てきてしまうのだ。
アパートの経営のために、5%の金利で資金を借りたとき、8%で回れば利益は3%分でる。
一応黒字になる計算ではあるが、あくまでもこれは順調に店子が入って、きちんと家賃を払ってくれることが前提だ。
アパート経営の表面利回りというのは、満室になったときの利回りなので、空室が増えればそれだけ利回りは下がる。
全部で8室の物件で表面利回りが8%なら、空室が3室になると、利回りは5%に落ちてしまう。
実際の利回りが5%だと、5%の金利を払うだけで手元には何も残らない。
これでは、アパート経営を拡大するインセンティブはなくなっちゃうね。
ところが表面利回り8%で、金利3%だったとすると、空室が3室できても利益が出る。
空き室があっても、半分以上入っていれば利益が出るという状態なら、「それじゃあアパート経営、やってみようか」「資金を借りてアパートをもう一棟増やそうか」という人も増えるだろう。
金利を下げると、こういう風に儲かりそうなビジネスが増えて、それで新たな投資が起こり、経済が活性化するというわけだ。
そのため通常の経済では、景気が悪くなると、中央銀行(日銀など)が貸出金利を下げて、景気刺激を行う。
逆に景気が良い場合は、貸出金利を引き上げて、景気の過熱感を冷やそうとする。
因みに日本の実際のアパート経営では、キャッシュフローROI(Return on Investment:空室や修繕費などを計算に入れた利回り)は2~3%くらいだという話なので、金利3%でも実は青息吐息なのだそうだが。